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隣接するフィボナッチ数の間に素数が存在する確率は、大きくなるにつれ、76.4%に近づくらしい。

  • 執筆者の写真: S Y
    S Y
  • 2021年8月26日
  • 読了時間: 3分

更新日:2021年8月26日

0. 参考文献

[1] https://www.chart.co.jp/subject/sugaku/suken_tsushin/91/91-4.pdf ベルトラン・チェビシェフの定理を使う


[2] (3項間漸化式の特例) 紹介されているサイトが見つかり次第、添付予定。


フィボナッチ数列の定義と一般項と黄金比(フィボナッチ数列の隣接項の比は黄金比に収束する)


1.素数が100%存在する区間について

この世に砂漠があれば、海もあるように、自然数にも素数砂漠があれば、素数の存在が保証された区間も存在します。それを説明したのが、ベルトラン・チェビシェフの定理です![1]ベルトランさんがこの性質の予想をし、チェビシェフさんが証明しました。その区間は以下の式で表せます!

例えば、n=826の時、2n=1652。この間の素数は、例えば827があります。他のあらゆる自然数に対しても、同様に素数が存在するのです!


2. フィボナッチ数列を見ていて気づくこと。

フィボナッチ数をいくつか書いてみます。

1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,...

なんとなく、フィボナッチ数の、自身を含む間にはフィボナッチ数が必ず存在していそうな雰囲気がしてきますね(1章の影響を受けてしまいましたね…)。ということで、次の仮説を立ててみます。


仮説:「ほとんどの隣接するフィボナッチ数2つ[f(n),f(n+1)]は、自身を含める区間の中に素数が少なくとも1つ存在するだろう」


この仮説、もし「全ての隣接するフィボナッチ数2つは、…」と言えば、ベルトラン・チェビシェフの定理より強い主張となります。しかし、今回はベルトラン・チェビシェフの定理が成り立つ場合を踏まえて考えますので、「ほとんどの…」と言いました。


3. 確率の問題〜少なくとも1つの…〜

高校受験などで時々出てくる数学の問題に、「少なくとも1つの〇〇が出る確率はいくつか?」というものがあります。この練習問題を解いてみましょう。


問. 目の出方が同様に確からしい1から6の目が書かれたサイコロが2つあります。同時に1度投げたとき、少なくとも1つのサイコロの出た目が奇数である確率は幾つでしょうか?


こういった問題は、実は聞かれていることの反対をイメージできるかどうかを試されています。要は、「1度も〇〇が出ない確率がどのくらいでしょう?」を考えたら良いのです。


実生活では例えば、「今週は少なくとも3回は買い物しよう」と思った場合、先に買い物へ行けない日を調べてから買い物の計画を立てますよね?それと同じです。


今回の問題では、奇数(偶数)が出る確率が1/2なので、以下のように計算できます。

p=1-(1/2)^2=3/4


「少なくとも〜」について理解できましたか?


4. フィボナッチ数と数直線

n番目のフィボナッチ数をf(n)とします。そして、次の2つのフィボナッチ数f(n+1)とf(n+2)をプロットします。

ベルトラン・チェビシェフの定理が使える区間をそれぞれのフィボナッチ数に対して与えます。そのために、2f(n)、2f(n+1)をプロットします。2f(n+2)は今回は使わないので無視します。

フィボナッチ数の定義から、

f(n+1)-f(n)=f(n-1)

2f(n+1)-f(n+2)=f(n+1)+f(n+1)-f(n+2)=f(n+1)-f(n)=f(n-1)

となります。


5. [f(n+1),2f(n)], [2f(n),f(n+2)]に素数が存在する確率について

今回知りたいことは、[f(n+1),f(n+2)]の間に素数がどのくらいの確率で存在するのか、ということでした。それは、[f(n+1),2f(n)], [2f(n),f(n+2)]の2つの区間の少なくとも片方に素数が存在する確率と同値です。

さて、「少なくとも」というワードに気づきましたでしょうか?ポイントはここです!つまり、この問題は、

[f(n),f(n+1)],[f(n+2),2f(n+1)]の2つの区間に同時に素数が存在しない確率

と同値になるのです!

単純に区間内の自然数の数(=最大値-最小値+1)が多ければ、素数が存在する確率は高いので(実際、素数定理で単調増加であることから正しい。)、明らかに偶数である2f(n)を除けば、それぞれの区間に素数が存在する確率は、

となります。同時に起こる確率は、それぞれの確率の積ですから、[f(n+1),f(n+2)]の間に素数が存在する確率は、以下の式のようになります。

ここで、よく知られるフィボナッチ数についての定理[2]を使います。

ただし、番号の偶奇がわかるように、f(2)=1の注釈をつけておきました。

これを用いて変形すると、以下のようになります。



この値は、およそ0.764となります。百分率では、76.4%です!

なお、参考文献[3]の方法で-3乗を出しましたので、この確率はもともと76.4%より大きく、これが少しずつ小さくなっていったことになります。すなわち、76.4%は、この確率の下限であることがわかります!


 
 
 

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