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隣接し合う4つの素数に加減法による関係式は常に成り立つか?

  • 執筆者の写真: S Y
    S Y
  • 2021年12月1日
  • 読了時間: 3分

0.参考文献

「ダランベールの収束判定法」 最終アクセス日:2021年11月30日13:25


1.予想

多くの素数pに対して、各々隣り合う素数q,r,sが存在して、特に、小さい順にa,b,c,dとすれば、a+d=b+cとなる場合があるでしょう。

ちょっとわかりにくい表現ですね。例えば、p=5であれば、(q,r,s)=(2,3,7), (3,7,11), (7,11,13)があります。この場合、(7,11,13)を選択することで、5+13=7+11が成立します。


2.隣り合う4つの素数について、いくつかの等号関係が成り立たないことの証明

今回の予想では、素数a,b,c,d, (a<b<c<d)に対して、a+d=b+cが成り立つだろうとしています。他方、a+b=c+d, a+c=b+d, d=a+b+cは成り立たないのでしょうか?


2.1 a+b=c+dが成り立たないことの証明

a<b<c<dより、

→a+b<a+c

→a+b+d<a+c+d

-d<-aより、両辺に足しても大小関係は成り立つから、

→a+b<c+d

これはa+b=c+dにならないことを意味します。


2.2 a+c=b+dが成り立たないことの証明

a<b<c<dより、

→a+c<b+c

→a+c+d<b+c+d

-d<-cより、両辺に足しても大小関係は成り立つから、

→a+c<b+d

これはa+c=b+dにならないことを意味します。


2.3 d=a+b+cが成り立たないことの証明


2.3.1 Inghamの定理

イングハムによれば、十分大きな自然数nに対して、

n^3<p<(n+1)^3

を満たす素数が少なくとも一つ存在することがわかっています。別の形で有名な予想は

任意の自然数nに対して

n^2<p<(n+1)^2

を満たす素数が少なくとも一つ存在するだろう、と言うルジャンドル予想があります。


この、十分大きな自然数nと言うのが、「任意の数nに対して成り立つ」と仮定して、以下の議論を進めていきます。


2.3.2 証明1(Inghamの定理について任意の数nについて成り立つとした予想が正しいと仮定する)

区間(n^3, (n+1)^3)に素数がただ一つ存在することが連続して3つ起きた場合(イングハム限界と呼ぶことにしましょう)、以下の関係式を満たします。

d=a+b+cであるとすれば、


これを満たす自然数nはn<=5のみです。

n=1の時

1<2<3<8より不適

n=2の時

8<11<13<27より不適

n=3の時

27<29<31<64より不適

n=4の時

64<67<71<125より不適

n=5の時

125<129<131<216より不適

以上から、イングハム限界を成り立たせるa,b,c,dにおいてd=a+b+cは成立しないことがわかりました。


2.3.3 証明2(modを使った証明)

4つの連続する素数p,q,r,sについて、p≡-1(mod6), q≡1(mod6), r≡1(mod6), s≡1(mod6)とし、p+q+r=s, p<q<r<sを満たすと仮定します。

ここで、

a=(p+1)/2, b=(q+1)/2, c=(r+1)/2, d=(s+1)/2

α=(p-1)/2, β=(q-1)/2, γ=(r-1)/2, δ=(s-1)/2

とおきます。

すると、

(a-α)(a+α)+(b-β)(b+β)+(c-γ)(c+γ)=(d-δ)(d+δ)

と、p+q+r=s

は同値になります。

ここで、

とおき、k_1, k_2の評価をしていきます。


2.3.3(1) k_1=k_2=k

ここで、8k≡h(mod 6)とおきます。

この結果をk_1に代入すると、左辺≡1, 右辺≡0 or 3となり、矛盾が生じます。


2.3.3(2) k_1+k_2=kの時、

ここで、4k≡h(mod 6)とおきます。

すると、先ほどと同様にして、h≡0(mod 6)となり、kは12の倍数であることがわかります。

さて、

とすれば、h_1+h_2=0 or 12となれば良いことになります。


ここで改めて、p,q,r,sを12を法とした表記に直します。

ありうる組み合わせは以下の通りになります。

すると、最終列において、h_1+h_2=0(mod 12)なる組み合わせは存在しないことになり、矛盾が生じます。

以上から、連続する素数p,q,r,s, (p<q<r<s), p+q+r=sなる素数は存在しないことがわかります。


3. 予想Aが多くの場合(全体の43.7%)で成り立つことの数値実験による証明

数値実験により、容易に199までの素数で予想が成立することがわかりました。また、30011までの素数で、予想Aが成立する素数の割合は、p(30011)=(予想を成立させる素数の個数)/(30011までの素数の個数)*100=43.7%となりました。この割合の変化率を調べたところ、29989と30011のそれぞれの場合で十分小さいことがわかりました。

ln|p(29989)/p(30011)|=0.00039687

ですから、ダランベールの収束判定法より、数値計算結果43.7%は有意な値であるだろうと考え、結論に至りました。



 
 
 

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