コラッツ予想の証明に関する概説
- Yume
- 2021年7月18日
- 読了時間: 9分
更新日:2021年7月25日
0. コラッツ予想の証明
コラッツ予想の操作とメビウスの輪の性質をうまく対応させることで、コラッツ予想の操作では、ただ一つのループが現れることを示せる。コラッツ予想は「操作により、ただ一つのループが現れるだろう」であるから、コラッツ予想は証明された。
1. コラッツ予想とは
ついこの間、コラッツ予想が1億円の懸賞金問題になりました。それを記念し、この証明を考えようと思いました。
まずは、コラッツ予想がどのようなものかを説明します。画像1をご覧ください。

(画像1)
奇数に対してはそれを3倍して1を足す、偶数に対してはそれを2で割る。これを繰り返していけば、どのような自然数も最終的に1に辿り着き、その後4→2→1→4…のループに入るはずだ、というのがコラッツ予想の主張です。
2. コラッツ予想を簡単に確認してみる
せっかくなので編集日の日付である1)7と2)716について考えていきましょう。
1) 7の場合
7→22→11→34→17→52→26→13→40→20→10→5→16→8→4→2→1
2) 716の場合
716→358→179→538→269→808→404→202→101→304→152→76→38→19→58→29→88→44→22→(略。上に同じ)
3. コラッツ予想の'偽'証明
しばしば、コラッツ予想が解けた、と主張する論文やサイト(このサイトも含む)が見受けられます。そのほとんどは十分に査読がされておらず、十分な信憑性を求めることができません。ですから、もしかすると、すでにコラッツ予想の完全な証明は与えられているにもかかわらず、きちんと評価されていないだけかもしれません。
一方、いくつかの'証明'のうち、いくつかは明らかに誤ったものです。以下に分類できます。
・ひとつ目:ループがひとつであると仮定し、その仮定のもとでコラッツ予想での操作と逆の操作(任意のタイミングで2倍するか、1を引いて3で割る)をすることで、全ての自然数を、それぞれただ一つの操作方法で表せることを主張するもの
・ふたつ目:そもそもコラッツ予想の証明ではなく、効率よく2章で書いたような順路か、コラッツ予想の操作の回数の概算を求めるプログラム
いずれも、そもそも「画像1のような方法では、ループがひとつしかできないだろう」というコラッツ予想を、正しいと議論の冒頭で仮定し、考察しています。本末転倒でしょう。
4. メビウスの輪に対する考察
4.1 メビウスの輪にデータを入力することに対する考察
この節のまとめ
・コーシーの積分公式は、閉曲線の内部に含まれる零点の情報に依存する
・閉じた面は、メビウスの輪では作れない
・メビウスの輪は、それ自身にしか、データを入力することができない。
コーシーの積分公式があります。これは、周回積分する閉曲線の形によらず、その内部に含まれる零点によって積分の結果がわかるというものです。
言い換えると、複素平面上の閉曲面にデータを入力することは、その内部にデータに対応する零点を作ることと同値になります。
ではもし、積分経路がメビウスの輪でできていたらどうでしょうか。メビウスの輪は、そもそも表も裏もありませんから、平面にメビウスの輪があってもそれによって閉じた面は作れません。

(画像2)真ん中の色違いの人が、泥棒。
少々難しいですね。画像2を見てください。例えば積分経路に警官が立っていて、その輪の中に泥棒がいたとします。もし積分経路がメビウスの輪のようにねじれていたら、ある警官には、泥棒は目の前にいますし、また別の警官には、泥棒は背後にいることになります。さて、泥棒が輪から逃げ出してしまいました。すると、ある警官から見たら泥棒は目の前から背後に、また別の警官には、泥棒が背後から目の前に現れたことになります。
整理しましょう。泥棒が逃げ出す前、ある警官には、泥棒は目の前にいて、また別の警官には、泥棒は背後にいました。本部にはこの情報が伝わっています。さて、泥棒が逃げ出した後は、ある警官には、泥棒は目の前にいて、また別の警官には、泥棒は背後にいました。本部は引き続きこの情報が伝わっています。するとどうでしょうか。泥棒は簡単に脱走できますね。
このようにメビウスの輪を使うと、閉じた面を作ることはできないのです。

(画像3)
ではどこにデータを閉じ込めたら良いでしょうか。答えは、輪の中です。今度は画像3を見てください。泥棒は警官の間に並んでいます。(もう捕まってしまいましたね。)この時、泥棒が逃げたとしたら、2人の警官は本部に「横にいた泥棒が移動した」と連絡できるでしょう。
4.2 全ての自然数の情報を有限な形で表現する方法
4.1で、メビウスの輪それ自体にデータを入力できることがわかりました。ところで、コラッツ予想を考えるには、対象を全ての自然数としなければなりません。そこで、p進数(pは素数)を導入します。正直、私もp進数についてあまり詳しくはないのですが、今回は単純に、全ての自然数を1~pのp個の数に分類することができる、モジュロ演算をpを法として扱うのだと考えてください。
こうして、全ての自然数を考えるには、1~pからなる集合だけを考えたら良いことになりました。
4.3 メビウスの輪の性質
メビウスの輪は、以下の4つの驚くべき性質が知られています。ねじり1回とは、接続部で初めて表と裏が同じ視点から見れる状態のことを言います。切り込み1周とは、切り始めた地点に近づいた時に、そのままその地点を終点として切り終える方法のことを、切り込み2周とは、切り始めた地点に近づいた時に、一度それを避けてもう一周し、切り始めた地点に戻って切り終える方法のことを言います。
また、便宜上ねじりは2回以上であるとします。これは性質3を保つためです。
1) ねじりが奇数回で、切り込みが1周だと1つの輪、切り込みが2周だと2つの輪になります。
2) ねじりが偶数回で、切り込みが1周だと2つの輪になります。この時、切込みを連続して2周することはできません。
3) どのようなねじり方をしても、どのようにメビウスの輪を切っても、輪が複数の場合、必ず全ての輪は互いに接する区間を持ちます。この性質はねじりが1回である場合に限り満たさないので、今回はこれを外しています。
4) メビウスの輪がどのような状態であれ、表面積の総和は常に一定である
3)は背理法でわかります。
3)を満たさない関係にあるAとBの輪が存在したと仮定します。2つを元の輪に戻そうします。すると、AとBの輪に、それぞれ3)の条件を満たす別の輪Cが存在すれば、邪魔をして戻せなくなります。
また、そのような別の輪Cが存在しないと仮定します。AとBは互いに独立していることになりますが、ねじりが2回以上のメビウスの輪から独立した複数の輪を、切込みによって作ることはできません。
以上から、3)は正しいです。
4.4 メビウスの輪へデータを入力する上での注意点
ここで便宜上、4.3(4)の保存則を利用して、データの保存規則を定義します。定義は次の通りです。「初期のメビウス輪の表面積と、データの総量の比が、その後の操作で現れたメビウスの輪に対しても保たれる。」
例えば、元のメビウスの輪が3回捻りで、1周の切り込みを入れたとしましょう。この時、一つの輪ができますが、元よりも周の長さが2倍、高さの平均値が1/2倍となっています。定義から、このメビウスの輪は、元のメビウスの輪と同じデータの総量を持つことになります。データはきちんと保存されていますね。
また、元のメビウスの輪が2回捻りで、1周の切り込みを入れたとしましょう。この時、二つの輪ができます。周の長さの比は1:2、高さの平均値はいずれも、元の1/3倍となっています。定義から、このメビウスの輪は、元のメビウスの輪に対して一方は2/3倍、もう一方は1/3倍のデータを入力することができます。データの総量はやはり元のメビウスの輪と同じになります。データはきちんと保存されています。
また原理的に、メビウスの輪を何度も切ることで、データ容量がひとつの数すら保存できないほど小さくなる場合があります。このような輪はデータ量が0であるとし、無視してください。また、その輪を無視しても、全体のデータ総量は保存されていると考えてください。
4.5 コラッツ予想と、メビウスの輪に入力されたデータとの対応関係
ここに、1~pのデータが入力されたメビウスの輪があります。ねじりは2回以上あるとしましょう。
2つの操作が考えられます。ひとつ目は、ねじりの回数を1つ増やすか、そのままにするかを選ぶことです。ふたつ目は、切込みを1周入れるか、切込みを2周入れるかを選ぶことです。ただし、ねじりが偶数回である時は、切り込みは1周入れるを選択するだけで十分です。
他の全ての操作は、以上の2つの操作の組み合わせで説明できます。
操作の結果、新たにねじりが偶数回の輪が1つでき(Case C_(even))、場合によってはさらにねじりが奇数回の輪がもう1つでき(Case C_(even&odd))ます。
ところでコラッツ予想において、1/2倍すれば、奇数の結果が出る場合と偶数の結果が出る場合のふたつが考えられる一方(Case C_(n/2))、3倍して1を足せば、必ず偶数の結果が出る場合(Case C _(3n+1))が考えられます。これはそれぞれC_(even&odd)とC_(even)に対応します。
わかりやすように対応表を以下に示しておきます。

(表1)
4.6 コラッツ予想の証明
いよいよ、結論です。メビウスの輪とコラッツ予想は対応関係にあることが、4.7でわかりました。
ここで4.3(3)に着目します。これによると、メビウスの輪によって作られている場合、必ず全ての輪は互いに接する区間を持ちます。これは、コラッツ予想での方法によって、ひとつのループが存在して、全ての数がこのループに帰ってくることを意味します。
コラッツ予想では、そのようなループはすでに1で述べたように、4→2→1→4…というループが知られています。
以上から、次の定理がわかります。
「コラッツ予想での方法を用いると、全ての自然数はただ一つのループに帰ってくる。そのループは4→2→1→4…である。」
これは、コラッツ予想が正しいことを意味します。
5. 終わりに
概説、と言いつつかなり熱く語ってしまいましたね。しかし、より詳細な証明となると、複雑な数式を考える必要があり、より長くなるでしょう。大切なことは、証明の本質を追求(追究?)することなので、概説だけで十分だろうと思います。もし、それでも複雑な数式を使って厳密に考えたい方がいらっしゃったら、ご健闘ください。
6. おまけ
もし、今回の証明の方法をより厳密に考えたい方向けに、私が考えられなかった点を以下に記しておきます。
・p進数では合同な数tとuは、メビウスの輪においてそれぞれどのような振る舞いをするか。
・ある数tについてのメビウスの輪の軌跡。(切られたらどちらに移動するのかという振る舞い)
・p進数とq進数での振る舞いの違い(p≠q)
・表1を見ると、2つの操作A,Bが存在し、Aは2種類の、Bは1種類の集合が作られていることがわかる。全ての自然数に対してこのように、2つの操作で3種類の集合が作れるようなアルゴリズムがあれば、原理的にはコラッツ予想と同様に、ただ一つのループに帰ってこさせられるだろう。そのようなアルゴリズムの探索。
©︎2021 Yume Isioto


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